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国境なき愛 ES2
病気の子は夜を徹して看病し、ひもじい思いをする子には自分の食事を分け与えた。

一緒に遊び、歌い、抱擁し、そして祈り、精いっぱいの愛情を注ぐ。

いつも温かい視線を注いでくれる母を、孤児たちはいつの間にか皆本当の母親のように慕うようになった。


戦後問もない頃、凶器を手にした村人が突然、共生園を訪れ、日本人である千鶴子の命を奪おうとしたことがあった。

その時、孤児たちは「オモニに手を出させるものか」と一斉に彼女を取り囲んだという。

村人は無言のまま立ち去り、彼女は後にこの時を振り返り、「孤児たちが守ってくれた命。ならば、死ぬまで孤児のために命を捧げようと決意した」と話していたという。


その言葉どおり千鶴子は終生、この誓いを貫き通す。

千鶴子は我が子に対しても特別扱いはしなかった。

日々の生活は食事も寝る場所も孤児と一緒。

だから近所の子から虐められて帰っても、悩みを打ち明ける場も我が子にはなかった。

寂しさと悔しさでいっぱいになり、母親ばかりか行方不明になった父すら憎らしく思ったという。

事あるごとに反抗を繰り返す子、屈折した親子の関係はその後長く続いた。


千鶴子と我が子が心を分かち合えるだけのまとまった時間がようやく持てたのは、亡くなる直前だった。

がんに侵された千鶴子を付きっきりで看病する中で、それまでのわだかまりが氷解していく。


死の床で、千鶴子は「梅干しが食べたい」と眩くように言った。

当たり前のように韓国語を話しチマチョゴリを着、キムチを食べ、誰からも韓国人だと思われていた千鶴子が、意識朦朧(もうろう)とした状態で発した日本語だった。

この言葉は、彼女の心の奥底にはずっと祖国への憧憬(どうけい)があった。


田内千鶴子は56年の生涯で、国境を超えて愛し合う素晴らしさを身をもって示した。

その人生はただ尊敬され、称賛され、追慕されるだけでなく、田内千鶴子の愛と実績を記憶し、後世までその愛を分かち合える人々が続くことを願っているのであろう。

国境なき愛を貫き通した人物、田内千鶴子の愛は、これからも日本と韓国で語り継がれていって欲しいと願う。



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テーマ : 福祉のお仕事
ジャンル : 福祉・ボランティア

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(非公開コメント受付中)

No title
おはようございます!

朝から素敵なお話を拝見させていただき、感謝しておりますm(_ _)m
一度己の道を見つけたら、何があろうと邁進する姿に惹かれます。
例え、一番愛する我が子に誤解を与えようとも、自分の信じた道を
あゆみ、人のために尽くし、生涯を捧げた生き方はいづれは必ず理解され
るものなんですね。
子供が横道に逸れるという理由は、親自身が好き勝手な事をしていて育児怠慢
だったという例も少なくはないと思いますが、
同じく子供に対して放任では
あったものの、世のため人のために懸命に生きていた為に疎かになった育児に
対しては、一時的に子供は不良化しても、必ず後に改心し、親を尊敬出来る
存在になるものだと改めて思いました。
応援凸
Re: No title
ぴ―ちさん。こんばんは ♪

いつもコメント有難うございます。

> おはようございます!
>
> 朝から素敵なお話を拝見させていただき、感謝しておりますm(_ _)m
> 一度己の道を見つけたら、何があろうと邁進する姿に惹かれます。
> 例え、一番愛する我が子に誤解を与えようとも、自分の信じた道を
> あゆみ、人のために尽くし、生涯を捧げた生き方はいづれは必ず理解され
> るものなんですね。
> 子供が横道に逸れるという理由は、親自身が好き勝手な事をしていて育児怠慢
> だったという例も少なくはないと思いますが、
> 同じく子供に対して放任では
> あったものの、世のため人のために懸命に生きていた為に疎かになった育児に
> 対しては、一時的に子供は不良化しても、必ず後に改心し、親を尊敬出来る
> 存在になるものだと改めて思いました。
> 応援凸

私が彼女(田内千鶴子)を知ったのはつい最近でした。
韓国孤児の母と呼ばれた彼女の人生は、胸が詰まるものがあると同時に、
異国の地で、そこまで彼女を駆り立てたものに戸惑いも感じています。

近くて遠い国と呼ばれたアジアの隣国で、日本人として生き抜いた彼女の
人生は、子どもにとって大きな宝物となっています。
親として、子供に残せる無言の遺言状は、信念を貫き通した人生にあるのだと思います。

ではまた、お伺いいたします!!
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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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