FC2ブログ

*All archives* |  *Admin*

生きて愛して ES2
上の子が宿った頃のことだった。

夫と出掛けた帰り道、私は片手でステッキをつき、夫につかまりながら電車の乗り換えをしようとしていた。

すると電車の中にいた車掌さんが「あっちのドアから乗ってくださいよ」と、ドンと突き飛ばした。

危うく転げそうになったところを夫がつかまえてくれた。


電車に乗り込んだ後も、「ひどい人」と怒っていたが、隣にいた夫は静かな声で「ああ、あの車掌さんは忙しかったんやなあ」と眩いた。

夫のほうに目をやると、その視線がずうっと先、さっき私を突き飛ばした車掌の所にあった。

その車掌は電車が駅で停車している発車までのわずかな時間を使い、一所懸命荷物の積み下ろしをしていた。

夫はその男性を「妻を突き飛ばした車掌」と見るのではなく、その方の置かれている立場や、人間として背負っている重荷のようなものを感じ取り、「あの人は忙しかったんやなあ」としみじみとやさしい一言を口にした。


妻の私を気遣う気持ちと、その車掌さんの苦労を理解する心の度合いが同じくらいに深い。

この愛の平衡感覚の源はどこからきているのか。

この夫なる人は一体何者だろう、と驚いたことがあった。

夫と死別してから、すでに45年が経ったが、いまでもその位牌に毎朝手を合わせている。

そして「資英さん、あなたは私に教えをくださるために人間の姿をして現れ、私と生活をともにしてくださいました。2人の子供と婿さんと5人の孫も授けてくださり、これもすべてあなたのおかげです」と心の底から祈りを捧げる。

ある時、いつものように手を合わせながら、ふと気づいたことがあった。

夫は一体何に頭を下げて深い礼拝をしているのかと考えていたけれど、それは三島由紀夫のいう「内なる天皇」つまり尊い中心というものを自分の魂の底に拝んでいたのではないか。

その秩序だった姿が、私のように何も分からぬやんちゃな人間をいまも変わらず導いてくれているのではないかと感じている。

彼女は今、昭和56年より札幌すすきので秋田の郷土料理店を営み、81歳の現在も店主としてお店に出ているという。

短い結婚生活だったが、日野西恵美子さんの人生にとって、何にも勝る深く納得できるひとだった。



生きて愛して―身体障害を克服した愛の記録
生きて愛して―身体障害を克服した愛の記録日野西 恵美子

日本教文社 1968-03
売り上げランキング : 983498


Amazonで詳しく見る
by G-Tools



今日の”ありがとう”が、明日の未来のあなたを・・・・。

このブログを最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


 人気ブログランキングへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ
↑人生の道しるべを探しに、ほかの世界も覗いてみてください。応援も宜しくお願いします。


スポンサーサイト



テーマ : 生き方
ジャンル : ライフ

Secret
(非公開コメント受付中)

ライフスタイルランキング
 人気ブログランキングへ にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
ブックマーク
MicroAd
Amazon
Ads by Amazon
人生の道しるべ月別アーカイブ
人生のカテゴリーメニュー

Plug-in by
@激安・割安・おすすめ商品@

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Amazon Free
RSSリンクの表示
人生の道しるべプロフィール

ニック

Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

記事から探す
人生のヒントとなる言葉を入力して「検索」をクリックしてください。
P R
人生の道しるべ最新記事
人生の大切なリンク友
人生の道しるべ最新コメント
お気に入りのブログ
人生の道しるべ最新トラバ