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生きて愛して ES1
生後10か月で小児麻痺に冒され、皆が歩き出す年頃になっても一人で立ち上がることができず、手に下駄を履き、足に履物を括 (くく) りつけて歩いていた。

6歳頃から松葉杖をついて歩けるようにはなった。

幼少期、学校へ行くのに母がおんぶをしてくれたり、兄たちがリァカーで送り迎えをしてくれたが、両親は私の将来を思い、どれほど暗澹 (あんたん) たる気持ちだったか。


それは、10歳くらいの時のことだった。

母が自分の着物の裾をパッと捲り、「恵美ちゃん、あんた、その体でね、大きくなったら大変だと思うのよ。ちゃんと生きていけるかねえ…-。母ちゃんのこの足を切って、恵美ちゃんの足と取り替えたいよ」と思い詰めたように言ってきたことがあった。

ところが当の本人はそのことを、辛いだの悲しいだのと思ったことはなかった。


心の底でなぜかそれを、神様からの「恩寵 (おんちょう) 」のように感じていた。

だから母のあの、悲しみに嘆く姿を見た時の驚きはなかった。

「もしお父さんの足が悪ければそれこそ大変よ。お兄ちゃんたちの足が悪かったとしても、きっと耐えられないと思う。私なら大丈夫、私なら大丈夫だから」と、宝物でも取り上げられるような気持ちで、母を必死に鎮めようとしたことがいまでも思い出す。


もし自分が普通に歩ける体であったなら、最愛の夫であり、童話作家だった日野西資英 (すけあきら) と巡り会うこともなかった。

夫との縁は人形作家だった頃、その作品を見て手紙をくれたのが始まりだったが、結婚4年目で夫は亡くなった。

しかし、ともに過ごした時間の一瞬一瞬をすべて記憶しているほどで、本当に神様と過ごしたようにも思える月日だった。


日野西資英は京都のお公家さんの家柄だったが、こんなにも無欲な人が実際にいるものかと思うほど、食べる物にしろ、着る物にしろ、実に恬淡 (ていたん) としていた。

かわりに親のない子や障害児たちのいる施設をあちこち巡っては、その子どものために本当によく尽くしていた。

終戦間もない頃の孤児院には物資も不足し、お風呂はドラム缶に乏しい水とわずかの薪を焚いて沸かした施設もあったという。


同じお湯を冷めては沸かし何なども使う。

ある時、風呂を勧められ、足を入れたら垢 (あか) がドブドブと広がって、これには驚いたと日野西は言っていたが、それを嫌がる様子もなく、逆に楽しそうに話していたという。

そんなふうに、すべてを拝むようにして生きている夫にどれだけ尊敬の念を抱いたか分からない。


次に続く!


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テーマ : 生き方
ジャンル : ライフ

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(非公開コメント受付中)

No title
おはようございます!

よく未熟児で生まれて来た子供を持つ親に限って、子供を虐待する傾向が強いという事を聞いたことがあります。きっと他のお子さんの成長と比較してしまい、悲観的に考えてしまった挙句に、自分の子供の成長の遅れに苛立ちを感じてしまうのかもしれません。
子供の成長の過程は千差万別。歩くのが遅い子もいるし、半年ちょっとで歩き出してしまう子もいますし、母親は他と比べる事無く、その子の成長だけに注目して子育てをして貰いたいものですね^^障害を抱えて生まれたお子さんの親の心身ともに掛かる負担は大変でしょうけれど、可哀想。可哀想・・で育ててしまうと、本当に自分は世界で一番不幸な人間であるという認識を植えつけさせてしまい、悲観的な心のまま成長してしまうと聞いたことがあります。そういう意味でも親御さんの認識一つで明るい将来が見えてくるなら、普通の子供として成長を見守っていきたいものです。

応援凸
Re: No title
> おはようございます!
ぴーちさん、こんにちは ♪

いつもコメント有難うございます。

>
> よく未熟児で生まれて来た子供を持つ親に限って、子供を虐待する傾向が強いという事を聞いたことがあります。きっと他のお子さんの成長と比較してしまい、悲観的に考えてしまった挙句に、自分の子供の成長の遅れに苛立ちを感じてしまうのかもしれません。
> 子供の成長の過程は千差万別。歩くのが遅い子もいるし、半年ちょっとで歩き出してしまう子もいますし、母親は他と比べる事無く、その子の成長だけに注目して子育てをして貰いたいものですね^^障害を抱えて生まれたお子さんの親の心身ともに掛かる負担は大変でしょうけれど、可哀想。可哀想・・で育ててしまうと、本当に自分は世界で一番不幸な人間であるという認識を植えつけさせてしまい、悲観的な心のまま成長してしまうと聞いたことがあります。そういう意味でも親御さんの認識一つで明るい将来が見えてくるなら、普通の子供として成長を見守っていきたいものです。

親として生まれた子供が元気で五体満足に成長してくれることを願っていますが、障害のある子を授かった親御さんは、我が子の人生に苦悩するといいます。
しかし生まれてきた子どもは、障害があろうが無かろうが生きることに一生懸命で、目に飛び込むもの、耳に聞こえるものは新鮮で、ひとつひとつがその子に適合し身についていくものです。

それを支える親が悲観した考え方を持ってしまうことで、子どもにも影響を多大に及ぼしてしまうように思います。
五体満足に生まれた子でも、精神が病んだ子がいるように、親の育て方一つで子どもは変わるように思います。
そういう意味では、親の責任は重大であるようです。
>
> 応援凸

ではまた、お伺いいたします!!
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: No title
秘コメさん、こんばんは ♪

コメント有難うございます。
若さは疲れも吹き飛ばすようで、年は取りたくないものです。
連休も予定がないと家のことに追われ、これといったことも無く、
ただ疲れが残ったという休日になりますね!

ではまた!!
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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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