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命の代償 ES2
彼はその後、脳腫瘍に対する「鍵穴手術」の考案者である福島孝徳医師にもアメリカで世話になり、献体を使う臨床解剖の場を提供していただいたことで、難しい手術にも取り組めるようになった。

これまで様々な手術をこなしてきたが、患者のことで覚えているのは、自分の力及ばず助けられなかった方、辛い思いをさせてしまったその家族のことばかりで、凄惨 (せいさん) な記憶以外には何も残っていない。


患者や家族は、ここに来れば助かると信じて、遠方から彼を頼って来る。

しかし必ずしもよい結果を残せるとは限らず、思いもせぬ事態に遭遇し、そんな時は、家族の姿を彼は黙って見ることしかできない。

難しい手術だったのだから仕方がない、と、なんとか自分を納得させることなどとうていできない。


脳外科医は、その痛烈な経験を積み重ねながら、60歳を過ぎて引退する日まで、限りなく進歩を続けていかなければならない。

すると、数年前の手術を振り返ってみて、あの時そうせず、こうやっていれば助けられていたのに、という悔恨 (かいこん) の念がいつまで経っても胸中を去らない。


もうこれ以上、悲惨な思いはしたくない。


誰かが他にやってくれればいい、と思うこともある。

彼がいま、難しい手術の依頼を引き受けるのは、国がお金をかけ、患者が自分の体を張って育ててくれた技術や経験を、世の中に少しでも返していかなければならないという気持ちからである。

だから彼は、毎日寄せられる膨大な数のメールに、自分の得た知識と経験を注ぎ込んで、伝えるべき言葉を紡 (つむ) ぎ出している。


我々脳外科医の生命は非常に短い、と彼はいう。

50歳近くになって、ようやく手術の何たるかが分かるようになってから引退まで、わずか10年余りの月日しかない。

彼の周りに集まる重症患者の消えいく命の炎を幾つも見たり聞いたりすると、どんな人の人生も有限で、残されている時間が非常に少ないことを痛感する。

だからこそ、自分にいまできることを精いっぱい、淡々と行っていくしかない、と澤村医師は語る。


医師の積み上げられた経験と技術は医師一人だけのものではない。

助けられなかった命の代償は国民にとっての大切な財産であるとともに、そのことを医療者はよく自覚し、さらなる研鑽 (けんさん) を積まなければならないと語る澤村医師は、今日もキーボードをたたき続けている。



いのちの約束
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一日も早い、復旧と復興を心より願っています。

今日も一日 ありがとうと感謝の心でお過ごしください。

このブログを最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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テーマ : 健康生活:病気・治療法
ジャンル : ヘルス・ダイエット

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(非公開コメント受付中)

No title
おはようございます!
今日は久しぶりのOFF日なので、朝から映画鑑賞して参ります^^
こちらへお邪魔させていただく時間が遅くなってしまうと申し訳
ありませんので、今日はこの時間にお邪魔させていただきました^^

素晴らしいですね^^
こういう志の高い医師が存在してくれているだけでもありがたい事です。
脳外科医の先生は、特に高い集中力に手先の器用さなどすべてにおいて
優れていないと出来ない仕事だと思います私の父もくも膜下出血で一時は
生命が危ぶまれましたが、腕のよい先生に出会えた事で一命をとりとめました。

今、夏川草介の「神様のカルテ」という本を読み始めた所です。
医者は学問だけではなく、気概がなければならない・・という言葉に
なるほど。と頷いております^^
それでは応援凸
Re: No title
ぴーちさん、こんばんは ♪

いつもコメント有難うございます。

> おはようございます!
> 今日は久しぶりのOFF日なので、朝から映画鑑賞して参ります^^
> こちらへお邪魔させていただく時間が遅くなってしまうと申し訳
> ありませんので、今日はこの時間にお邪魔させていただきました^^

OFFの日は自分の充電のために使えるので、よい映画を観てきてブログにご紹介ください。
心と体のリフレッシュもお忘れなく。
>
> 素晴らしいですね^^
> こういう志の高い医師が存在してくれているだけでもありがたい事です。
> 脳外科医の先生は、特に高い集中力に手先の器用さなどすべてにおいて
> 優れていないと出来ない仕事だと思います私の父もくも膜下出血で一時は
> 生命が危ぶまれましたが、腕のよい先生に出会えた事で一命をとりとめました。

そうでしたか。私の母は心筋梗塞でやはり一時命の保証は・・・・と言われましたが
心臓外科の優秀な先生に恵まれ、何とか助かりました。
親が高齢になると、命にかかわる場面に遭遇する機会も増えますね。
>
> 今、夏川草介の「神様のカルテ」という本を読み始めた所です。
> 医者は学問だけではなく、気概がなければならない・・という言葉に
> なるほど。と頷いております^^
> それでは応援凸

どんな分野の医者でも命にかかわる仕事は技術も必要ですが、人としての生き方を
問われているように思うのです。
命という尊厳を、現界と霊界という世界で左右させてしまうところに立たされている
医者という特別な存在は、持って生まれた才能や志が強くないと出来ないのでしょう。

ではまた、お伺いいたします!!
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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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