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人生の果てにある境地 ES3
ステロイド剤の服用を始め、2週間がたったある日、両腕が少し体から離れていたことに気づく。

今までは筋力低下で両腕は常に体にくっつくようにダラリと下がったままだったが、この時は違った感じがした。

もしかして、薬が効いて肩の筋肉が回復してきたのかもしれないと思い、この命を生かしてくださる、あらゆるものへ感謝の気持ちで、個室の中で1人、四方八方にできないはずのお辞儀をしていた。


その後、筋力は回復し、翌58年2月に退院することができるのです。

夫も命はとり止め、降圧剤などたくさんの薬を服用しながらの生活でしたが、これで再び一家がそろったと思った。

家に戻ったものの、薬の副作用による手足のしびれ、いいようもない眠気、何をするにも意欲が出ず、時にひどい鬱状態に陥ることもあった。

さらに、ムーンフェイスといってまん丸に膨れた顔を鏡で見るたび、一層「誰にも会いたくない、一歩も外に出たくない」という気持ちになる。


副作用があってもいい、子どもたちの元へ帰りたい、生きていることへ感謝!そう思って退院したのに、その気持ちは風船の空気が抜けていくように日に日にしぼんでいった。

そんな憂鬱な日々を2年ほど過ごしたある日、突然左足の股関節に激痛が走り、その瞬間、ステロイド剤の副作用の説明を聞いたあの日のことが頭をよぎるのです。

検査に行くと、やはり薬の副作用で、すでに股関節の血管がつまり、骨が腐っている(骨頭壊死の状態)と告げられた。

しかし骨が完全に腐って崩れ切ってからでないと、人工骨頭を入れる手術はできないとも言われていた。


やっと命を繋ぎ止められた矢先、今度は骨が崩れて歩けなくなるかもしれない、これから先どんな生活を送ったらいいか、途方に暮れ、一時も心休まる時間はなかった。

あまりの激痛に、どこかに何か大いなる存在があって、私がどこまで痛みに耐えられるか試しているのではないだろうか、きっと私は試されているんだ、と考えるようになる。


5か月間の激痛に耐え抜き、ある日トイレに腰掛けた瞬間、「ガシャン!」という音とともに骨が崩れ、あまりの痛さに声を出すどころか、息をすることもできなかった。


昭和60年に左側、61年に右側の股関節に人工骨頭を入れ、身体障害者手帳3級の交付を受けるのです。

そこに刻印されてある「障害名:両大腿骨頭無腐性壊死・両股関節人工骨頭置換術・両股関節機能全廃」の文字を見ると、やはり自分はもう普通の人と同じことはできない、普通の人間とは違うのだという、劣等感のような思いが先に立つのです。


そんなある日、夕刊のある一文が古結さんの人生を変えていきます。

「花を愛すれば人間になってくる」


まるで光を放つように目の中に飛び込んできたその一文は、曹洞宗の松原泰道老師の言葉だった。

「花を愛することで人間になれるなら、私だって人間になれる」深い驚きとともに、影を落としていた心に一条の光が差し込んでくるのを感じるのです。


ストレッチャーで病室に運び込まれ、車椅子の世話になり、いまは松葉杖をつきながらも、自分の意思で動くことができる。

なんて素晴らしいことだろうと思うと、こんな体になっても、もっと何かをしたいという思いが湧き上がってくるのです。

次に続く!


生きててよかった―膠原病とともに
生きててよかった―膠原病とともに古結 芳子

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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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