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毅然とした人生の華 ES3
滝乃川学園A
大正5年、筆子55歳の時、長く入退院を繰り返していた幸子が他界する。

幸子が旅立った後、夫の亮一も遠ざけ、しばらく2人で時を過ごしたといいます。

母として深い悲しみの中で、筆子には安堵する思いもあったのではないかと私は思っています。


4年後の大正9年、火災で施設が全焼し学園存続の危機に見舞われることになります。

火の手の回る中、子どもたちを助けようとした筆子は大怪我を負いますが、それ以上にこの火災によって6名の園児が命を落としたことを嘆き悲しみます。

園児たちを救いきれなかったことへの自責の念から、筆子と亮一は学園の閉鎖を考えるのですが、新聞等で学園の全焼を知った人々から届けられた激励や、女学校時代の仲間、教え子たちからの見舞い金を前に筆子と亮一はもう一度立ち上がります。


初期の学園生はすでに大人になっていましたが、働き口はなかった。

亮一は学校とともに彼らが働ける農場をつくろうと考え、昭和3年、滝野川から東京の国立に、いまの1億円を超える費用をかけて移転をするのです。

さらに滝野川の土地を売却した資金を返済に充てようと考えていましたが、昭和恐慌に直面し、負債は2億円にまで膨れ上がった。

しかし、「子どもと共に学び 共に食し もし糧なくば共に死せん」という2人の信念は変わることなく、学園を守り続けた。


昭和7年、71歳の筆子は脳出血で倒れ、半身不随となり、車椅子生活を余儀なくされます。

亮一も老いと病に苦しみながらも精力的に働いていましたが、昭和12年の6月、70歳で永眠します。

主を失った上、多額の負債を抱える学園は再び閉鎖が検討されますが、76歳の筆子は2代目の学園長に就任し、その灯火を守った。


時代は第二次世界大戦へとひた走り、滝乃川学園は「国の役に立たない知恵遅れ」と蔑まれ、配給米を後回しにされてきたにもかかわらず、戦局の激しさが増すと、中程度の障害児にまで赤紙が来た。

男手のない中で畑仕事をし、空襲に耐え、必死で子どもたちを守ってきましたが、昭和19年、戦争の終結を見ることもなく石井筆子は83歳で天に召されていきす。


教会
最後まで子どもたちを戦争に送り出したことに心を痛めていた石井筆子。

最晩年に近い昭和17年、筆子はこんな短歌を残しています。

いばら路(じ)と知りてささげし身にしあれば いかで撓(たわ)まん撓むべきかは
(苦難の道と分かって捧げたこの身であるから、どうして挫けることなどできよう。挫けるわけにはいかない)


この短歌に彼女の一生が表れている気がしてならない。

明治中期、鹿鳴館の華と謳われ、誰もが羨望のまなざしを仰いだ彼女が、知的障害児を出産したことでその人生が一変し、嘲笑、蔑みの中で知的障害児教育といういばら路を歩んでいる。

もしも彼女が健常者を対象としていた教育者であったならば、津田梅子と同じくらいか、それ以上に深く歴史にその名を刻んでいると人はいう。


早くから世界を知り、「欧米諸国では知的障害児を蔑んだりはしない。本当の文明国家とは鹿鳴館などでなく、人が人である限り、生命と人格を尊重し合う国家である」という信念に向かって突き進んできた人生がそこにはあった。

自らの地位も名誉も財産もすべて捨て、一途に障害児たちの喜びのために人生を捧げた石井亮一と筆子の志は、今でも滝乃川学園に脈々と息づいている。



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■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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