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小さき自分 ES3
その結果サエは5年のうちに可愛い少女になる。

菊栄はその成長ぶりをこう記している。

「圧倒されたような驚きは、徐々に喜びに変じて参りました。(略)。自分の人格を認めてくれるといふことは、少女にとつてわけのわからないほどの喜びでございました。次第にひきのばしてくれる人のあることによって、少女の智性は生長を始めました」と。


「『愛なくして何の教育ぞ』とはまことに輝く真理でございます。愛と理解こそ人間教育の最も優秀な武器でございます」と、これが終始変わらない菊栄の教育方針であった。

そして、自分の仕事に対する思いをこうも記している。

「私の仕事は社会のどん底を掃除する役目でございます。いはばば社会のどぶさらへでございます。(略)いかに惨めであらうとも、御国の宝なるこの子供等と共に生活しつつ、祈りつつ努力してゆかうと存じます」

これらの言葉の中に、菊栄の心願が注がれ、37年間の園母生活で、367名の子どもを育てている。


菊栄の考え方の根本には、社会に対する理想があり、国のために尽くしたい、自分にとってそれは社会のどぶさらいをすることである、との使命感があったようです。

80歳になった昭和21年、彼女は22歳の武田紀(とし)という女性に後任を譲り、菊栄の精神が受け継がれていく。

園母を退いた菊栄が静かに息をひきとったのは、この国で初めて「児童福祉法」が制定された昭和22年12月14日の夜、81歳の時でした。


養育とは、愛情だけでは決してできるものではなく、感情だけに頼っていては、とても何十年と続けることなどできない。

その仕事に対する信念や、自分がなぜこの道を選んでやっていくのかという覚悟が求められ、菊栄の胸には、絶えず日本の国をよりよくしたい、という大きな理想があったようです。

菊栄は非常に恬淡(ていたん)としていて、朗らかで、困っている人には何でもその場で「かまん、どうぞどうぞ」と、お金や物を差し上げていたといいう。

自分の着ている襦袢(じゅばん)をその場で脱いで貧しい人に差し上げたこともあったようで、本人の生活は至って質素で、年を追うごとに貧しくなっていったといいます。


そんな菊栄の人となりを見ていると、「小さき自分」という言葉がよく似合う。

自分を小さくして生きた人ほど、やり続けてきたことが時間を経た後、非常に大きなものになってくる。

人の評価、見栄、名誉欲、出世欲、金銭欲……、すべてを排して、無欲でまっすぐ目的に向かって突き進む。

そうでなければ物事の本質が見えてこないと思うのです。

出世やお金に目がくらんでいる人は、貧しい人や弱い立場にある人を見ようともしない。

お金や名誉や世間体を気にして無駄なことに時間を使っているよりも、自分を小さくしていればものが見え、理想がより鮮明になると、菊栄が自ら教えている。


そして彼女のもう一つ凄い点は、絶えず勉強をし続けたことです。

晩年の菊栄が、ジイド、バルザックなどの外国作家、島崎藤村、芥川龍之介などの現代作家の作品や、心理学書、哲学書などを1日5時間平均で読んでいた記録が残されている。

子どもを育てるためには、まず自分が勉強をしなければならない、という彼女の姿勢がそこにはある。

「向学心」とは、青年期のある時期についてだけ使うべき言葉ではない。

年をとっても、物事を追求する限り、向学心は燃えたぎるものだということを菊栄が証明している。


訪(おとな)う者に、一人で答えを出させるような、そばにいるだけで、たくさんの温かい言葉を伝えてくれるような存在、それが岡上菊栄であった。



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一日も早い、復旧と復興を心より願っています。

今日も一日 ありがとうと感謝の心でお過ごしください。

このブログを最後まで読んで頂き、ありがとうございました。



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■ニックネーム:人生の彷徨人
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■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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