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シネマ伝道使と母の心 ES1
最近、劇場で映画を観ることが多くなり、改めて映画の良さが甦りはまり始めています。

そんなおり、映画監督の河崎義祐(かわさき・よしすけ)さんの本が目にとまりました。


映画が日本人にとって「娯楽の王様」と呼ばれた時代、黒澤明監督や今井正監督、岡本喜八監督のもとで助監督を務め、その後は山口百恵、田原俊彦、松田聖子など数々のアイドルの青春映画を撮りながら監督としての道を歩いて来た河崎義祐さん。

50歳を迎えた頃、ふと心のどこかで、これから世の中に恩返しをしていく年齢になってきたなという思いに駆られるようになる。

そんな矢先、ブエノスアイレスの日亜学院という学校に勤める日本人保母の投稿記事を目にする。

“日亜学院では、二世三世に日本語を教えているが日本の教材が少なく、教材づくりに追われている。しかし日本では、廃品回収でまだ使える古本が山積みになっている・・・・”


これを読んだ時、ふと亡くなった母が口ぐせのように言っていた言葉が思い浮かぶ。

「一つの喜びも、10人で共有すれば、喜びは10倍になる。悲しいことも10人で分かち合えば、その悲しみは10分の1になる」


母はその記事が出る1か月前に亡くなっていた。

火葬の骨あげで、「これが手です」と教えられた母の骨はほんのわずかだった。

こんな小さな手で、俺を抱いてくれたのか……。

恩に報いるために母の心を形にしよう、と心はその思いでいっぱいになり、ブエノスアイレスに教材を送る。


彼の世の中への恩返しはこうして始まった。


定年を迎えた60歳の頃、映画に携 (たずさ) わってきた自分が、社会の役に立てることは何だろうと考えるようになった。

そして、劇場で観られなくなった懐かしい映画を、外出もできないような高齢者の方々に観てもらうことなら自分ひとりでもできるかもしれない、と思いついた。


早速、映画ビデオを映写する器材のカタログを取り寄せ、月々の厚生年金で支払える範囲でスクリーンやプロジェクターなどを買い揃え、車に詰め込み、自ら運転し映画の出前を始める。

阪神淡路大震災後の神戸、新潟中越地震の被災地である小千谷 (おじや) ・・・・、必要としている人がいる限り、全国どこへでも映画を届けに行く。

初めは、ガソリン代やビデオ代はすべて自分で賄 (まかな) っていた。

出費がかさみ、「なんでこんなことを始めてしまったのだろう」と途中で投げ出そうとしたこともあった。


次に続く!



映画、出前します
映画、出前します河崎 義祐

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テーマ : 映画
ジャンル : 学問・文化・芸術

シネマ伝道使と母の心 ES2
しかし、自分を犠牲にして人に奉仕をすることが、自分の喜びに繋がるという母の教えをかみしめながら何とか続けることができた。

映画のビデオを寄付してくれる人に出会ったり、多くの支援をいただいたことも心の支えとなった。


映画の出前を続けてこれたのは、映画を撮っている時には知りえなかったたくさんの感動的な出会いがあったことが大きかったと語る。

印象に残っているのが、横浜に住む82歳の男性から、寝たきりの85歳の妻に映画を観せたいという依頼だった。


の映画は、名作『風と共に去りぬ』だった。

この作品は前後編合わせて3時間を超える大作、「疲れると思います。もう少し短いものを」と勧めたが、どうしても観たいという。

「それでは午前中に前編を観て、昼食を挟んで後編を観ましょう」ということで引き受けた。


その日は奥様の部屋での上映会となり、カーテンがない部屋で雨戸を閉めてもらい、老夫婦、近所に嫁いだ娘さんと3人での上映会が始まった。

前編が終わり、昼食を挟んで午後から後編の上映を始める。

物語がクライマックスに入った頃、玄関から「ピンポーン」という呼び鈴が鳴った。

付き添っていた娘さんが涙を拭いながら玄関に出ていくと、女性の泣き声が玄関から響き、やがて笑い声に変わる。


間もなく部屋のドアが開き、一人の婦人が入ってきた。

不思議に思ってたずねると、次のような答えが返ってきた。

「朝から見かけない車が止まり、シーンとして物音一つ聞こえない。雨戸も閉まったまま。これはもしかしたら寝たきりのおばあさんに何かあったのでは」と隣の奥さんが心配して来たという。


一見笑い話のようにも思えるが、この時彼は「そうか、映画の出前というのは、人様の生命とギリギリのところで深く関わっているんだ」と気づく。

映画を観て喜んでいただいているという面もあるが、それ以上に限りある生を最高に楽しもうとしている人達がいることを教わるのです。


その人にとって、生涯最後の映画だとしたら、それを提供する側も半端な気持ちではやれない。

そう自分を戒める瞬間だった。


映画は本当にすごい力を持っている。

上映会を通して映画の中にある命は甦り、高齢者の方たちに大きなエネルギーや夢、勇気を与える。

約40年間、映画をつくっていた頃は、そんなことなど考えてもいなかった。


いま河崎監督は、10年以上の映画の出前を通じて、他人の喜びが自分の喜びと感じられようになったという。

いま、母の言葉の深さが身に沁みて分かるような気がする。

高齢者のために賛同者を募りながら、本当の奉仕を志すシネマ伝道使の活動を全国に広げ、母の心を形にしていきたいと河崎義祐監督は語っている。



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『神様のカルテ』観てきました
“コクリコ坂から”を見に行った際、予告でやっていた『神様のカルテ』を見たいと母がいっていた。
( ”コクリコ坂から”の記事 )


前日、ネットで予約をして母・愛妻・四男の4人で行ってきた。

神様のカルテ1


この映画は、本屋大賞を受賞した夏川草介のベストセラーを映画化したもの。

地方病院で働く青年内科医・栗原一止(いちと)(櫻井翔)が、ひとりの医師として、
人間として成長していく姿を描いた、現役医師のデビュー小説。


医療の技術を競い合い、時には“神の手”と呼ばれる医師が華やかに
クローズアップされる現代、医療技術を見せる映画でもない。

勤務5年目の栗原一止は医師不足の中24時間365日の激務を本庄病院でこなしていた。

妻・栗原榛名(はるな)(宮崎あおい)は山岳写真家で、1年前に一止と結婚。

神様のカルテ2


御嶽荘という旅館をアパートにして、風変わりな住民と温かく暮らしていた。

そこには、“変わっていくもの”と“変わらないもの”が同居している。


激務で最初の結婚記念日も忘れてしまうそんなある日、
大学病院から見放された末期がん患者・安曇雪乃(加賀まりこ)が現れる。

神様のカルテD


変わっていく最先端の医療技術と、変わらないものは人と人とのかかわり合い方、
変えてはいけないものを一止は考え始める。

号泣する映画、お涙ちょうだい映画と聞いていたが、号泣するほどの映画でなかった。

栗原一止役の櫻井翔は、夏目漱石をこよなく愛する風変わりな医師を見事にこなしていた。

宮崎あおいは、さすがに別格と思わせる素晴らしさで、
立っているだけで絵になる女優とはこのことを言うのかと・・・・


原作と違うところがあるようだが、最先端医療と患者に最後まで寄り添い看取る
医師としての葛藤はさほど重たくもなく、時にはユーモアも織り交ぜて展開している。

手遅れの患者を拒否する大学病院と、手遅れであったとしても患者と向き合う
地方病院の構図は医療とは何かを考えさせられるテーマだった。

エンディングに流れる辻井伸行のテーマ曲は、信州の山々に溶け込み素晴らしく心に響いていた。




今日の”ありがとう”が、明日の未来のあなたを・・・・。

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『コクリコ坂から』観てきました
息子が大学の部活の帰りに、横浜で『コクリコ坂から』の原画展を見てきた。

原画展


夕飯の食卓で、かなり良かったと熱弁をふるっていた息子。

ジジ

いや違いました。

これ、原画展で買ってきた「魔女の宅急便」のジジでした。


手持ちのお金がなかったので、コクリコのクリアファイルセットとジジを買ったようです。

映画も見に行くと言っていたので、久々に家族(と言っても4人)で
行こうということになりネットでチケット購入。

息子の友人と5人で、先週末『コクリコ坂から』を見てきました。

コクリコ坂からC

東京オリンピック開催を翌年に控えた1963年の横浜。
女系家族の長女である松崎海(声:長澤まさみ 通称・メル)は、自宅兼下宿屋「コクリコ荘」を切り盛りする高校二年生。
父を海で亡くし、仕事を持つ母・良子(声:風吹ジュン)をたすけて、下宿人もふくめ6人の大世帯の面倒を見ている。
古いものを壊し、どんどん新しいものを作っていこうとする気運のなかで、横浜のとある高校でも老朽化した文化部部室の建物「カルチェラタン」のをめぐる学生たちの奮闘の中、海は高3で新聞部部長の風間俊(声:岡田准一)と出会い、惹かれていく…。
二人は順調に距離を縮めていくが、ある日を境に、急に俊がよそよそしくなって…?



原作は高橋千鶴(作画)と佐山哲郎(原作)による少女漫画です。

オリンピックに合わせて、新しいものに変えていこうと世の中が動いている時代。

戦争に翻弄された両親の過去が、偶然惹かれあう海と俊の時代につながり、
過去がひも解かれていく。

コクリコ坂からⅠ


今までのジブリ作品のようなファンタジーもなければ、戦いや魔法などもないが、
一途な男女の物語は、“カルチェラタン”の取り壊しを舞台に淡々と進んでいく。


1960年代の時代が、あちらこちらに丁寧に描かれ懐かしく感じる。

コクリコ荘周辺の風景や高度成長期に突入した町並み、
商店街や港の風情、電車・部室の描き方は当時を思い出す。

コクリコ坂からD

コクリコとは仏語でヒナゲシ・虞美人草を意味する。

花言葉のひとつに“思いやり・感謝”があり、映画もこのテーマにそっていると感じる。

海が毎日揚げる信号旗には「安全な航海を祈る」という意味があり、
彼女の立つ位置からは見えないが、旗に答える俊がいる。

コクリコ坂から6


人の出会いとは、そんなところから始まり、お互いが魅かれあっていくのだろう・・・

当時の純愛はこんなものだったのかとあらためて思う。


この映画、賛否両論があるようですが、我が家族の評価は良かったです。

私は原作を読んでないので分かりませんが、原作をそのままなぞった観があるとか、
演出面や描写がおおざっぱだとか・・・・・

確かに、話のもって行き方が突然だったり、海と俊の心の変化をもう少し時間をかけて
丁寧に描写して欲しかったことは有りますね。

それでも、1960年代を生きてきた私には、大きな感動に包まれる訳ではないけれど、
ほんのりと昭和の香りを楽しめ、良かったという気持ちになれる作品でした。


コクリコ坂から
コクリコ坂から高橋 千鶴

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-07-10
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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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