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本物と偽者を見極める ES1
昭和15年の暮れ、孤児院から逃げ出した彼は、お腹が空いていたことを理由に、あるパン屋の店先で菓子パンを盗んでしまう。

お砂糖が配給制になって、甘いものがだんだんなくなってくる時代でもあった。

ところがその菓子パンを食べる前に刑事に捕まり、年の瀬を警察で迎えてしまう。

少年院に回されることが決まると、彼を捕まえた刑事に連れられ、手錠もつけずに手を引いて少年院に向かう。

バス停でバスを待っていると、向かいに汚い駄菓子屋があった。

甘いものもないはずの駄菓子屋に、売れ残った菓子パンが2つだけあった。

それを刑事が買って、「バスが来ないうちに食っちまえ」っていって彼にわたした。

当然1つは刑事が食べるものだと思って、1つだけ取り出して返した。

すると人のよさそうな刑事は、にやっと笑って「ばか、1人で食べていいんだよ」といった。

彼はそれまで1人で2つ食べるなんていう経験はなく、刑事にいわれた一言に涙が溢れ出た。

刑事にしてみれば、少年院に入ればもう甘いものも食えなくなるし、戦争も酷くなってくるから、せめて売れ残った菓子パンだけでもという、単なる思いつきだったのかもしれない。


少年院に行った彼は、この刑事のことを忘れることは一生なかった。

食糧難が戦争でどんどん広がっていき、菓子パンどころか米までなくなるような時代が始まっていた。

だから余計に、この時に食べさせてもらった、たいして甘くもない菓子パンが思い出として心に刻み込まれていった。


テレビ作家をやっていた時代は、日銭は入っても忙しいばかりで、まとまった仕事はなかった。

田舎に帰りが看護師だった妻に生活を支えてもらい、子供も2人生まれ子育てしながら書き上げたのが『お菓子放浪記』だった。

名もなき作家は売るのも大変だった。

どこに行ってもダメだったが、やっと拾ってくれる人がいた。

蓋を開けてみれば、作家 西村滋の書いた小説は当時のベストセラーになっていた。


次に続く!



お菓子放浪記 (講談社文庫)
お菓子放浪記 (講談社文庫)西村 滋

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本物と偽者を見極める ES2
人間は、義務だけで生きる人生をおくることは無意味である。

報酬をいただいて義務を果たすのは当たり前だと彼はいう。

義務の上に何がつくのか、人間として何をつければよいのか、ここが大事なのである。


彼は作家として原稿を書くという約束を守り義務を果たす以外に、難病団体の支援も行っている。

いまある自分はたくさんの人に助けられて、ここに生かされている。

自分のことだけに目を向けた生き方から、今度はしてもらったことを、人のためにしたいと思う生き方に変えていく。


『お菓子放浪記』の最後では、お菓子に憧れていた主人公が、終戦後お菓子が闇屋のものになってしまい、見苦しいことばかりが続く状況に絶望する。

そこにかつて世話になった先生が現れ「いま世の中においしいお菓子がないのなら、あなたがお菓子になればいいじゃないの。あなたがお菓子のようなおいしい人間になって、人をおいしがらせ、人を羨ましがらせる、そういう人間になればいいじゃないの」という。


おいしい人間ってなんなのか?

おいしい人間とは、本物と偽者との見分けがつく目を持った人間だと彼はいう。

そしてこの見分ける目は、人間の心から養われていく。

自然を愛し草木を愛し山を愛する、平和を愛し人を愛し家族を愛する、そんな心から人間は本物と偽者を見分ける目が育つ。

笑うことも泣くこともエネルギーなのです。

ただ、笑っている最中でも泣いている最中でも、このエネルギーが湧き出る源の心の思いを忘れてはならない。

「大人たちが自分たちに何をしてくれ、何をしてくれなかったかをよく見ておくことで、これからあまり楽でもない人生を生きていく人たちのために何かなるはずだ」と、西村さんが語るそこには、おいしいお菓子のような人間を目指して、生きていきたいという思いがあるのだと思うのです。






今日の”ありがとう”が、明日の未来のあなたを・・・・。

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全てはありのままの自分と ES1
東大工学部の3年生だった1982年のある日、群馬の大学病院に勤める脳神経外科医の父から電話があった。

ちょうど東京にきているから夕食を一緒にどうだと誘われた。

突然の誘いに初めは断ったが、あまりにもしつこく食い下がるので了解し、父が泊まるホテルヘと出かけていく。


自信家で声が大きく、階段を上るだけで家が揺れるような存在感のある父と、幼い頃からいじめられっ子で気弱な自分とは全く対照的だった。

「何事も一流じゃなければ意味がない」が口癖の父に反発し、それまでほとんど口もきいたことがなかった。

久しぶりに会ってみるとその日の父はまるで別人だった。


穏やかですっかり丸くなった父は、内気で一発勝負に弱いと悩む息子の相談を優しく聞いてくれ、さりげなく「あんたは優しいんだから、そのままでいいんだよ」と認めてくれた。

思いがけない一言だった。

その時初めて、父と心から語り合えたと思った。


翌朝、けたたましく鳴り響く電話で目を覚ました。

声の主は母だった。

そしてその声は明らかに動揺していた。

昨夜、夕食をともにしたばかりのホテル・ニュージャパンで火災事故が起こり、父が行方不明だという。

突然の父との別れはあまりに衝撃的で、その後7年ほどその事実を受け入れることがでなかった。


なんとか大学を卒業したものの、定職にも就かずパチンコに明け暮れ、いまでいうフリーターになっていた。

目的もないまま、1年以上怠惰な毎日を過ごす。

やがてサラリーマンになったものの長続きせず、何度か転職を繰り返すうちに何もかもが嫌になり、29歳の時ついにひきこもりになる。

精神科医から轡病と診断され、一日のほとんどを寝て過ごし、3日に1度コンビニに食料を買いに行く生活を続けた。

しかし、そんな中でも時間だけは流れ、いつの頃からか事故で受けた影響が徐々に薄れていき、ようやく父の死と向き合えるようになっていく。

そして、この頃医者になりたいと思うようになった。


東大卒、パチプロ、フリーター、ひきこもりから医者、そして作家という道を歩むようになる川渕圭一(かわふち・けいいち)さんの人生です。


次に続く!



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セブン ソングズ フリーター医師の青春七転八倒記川渕 圭一

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全てはありのままの自分と ES2
轡病を治す病院に通う中で、通り一遍に薬を処方するだけの医者の診察に疑問を抱くようになる。

自分は父のように一流の医者にはなれないし、専門の医者にもなれないが、その分庶民に近い医者、窓口的な医者ならなれるかもしれない。

患者にとって親しみやすい、身近な医者ならなれるかもしれないと思う。

いままで散々遠回りしてきたが、逆に考えれば普通ではできないような面白い経験をしてきたと思えるようになった。


30歳で医者になることを決意してから京大に入りなおし、猛勉強して37歳で研修医になる。

それからはとにかくハードワークで、自分の身を守るのに精いっぱいの日々が続いた。

しかし、そんな辛い毎日の中で唯一の楽しみは、患者といろいろな話をすることだった。


研修医時代に仲良くなったKさん。

彼は不治の病を患っていた。

まだ若く、強靱な精神力を持っていたKさんは、辛い治療にも耐え続けてきた。


毎日長い時間をKさんの部屋で過ごし、冗談を言い合ったり、薬の副作用にじっと耐える彼のそばにいて励まし続けた。

まもなく研修病院が異動になり、しばらく経った後に彼が亡くなったことを知った。

退院したら一緒に飲みに行こうという夢は絶たれたが、治る見込みがないという絶望の淵に立たされても、一緒に希望を持って病と闘い続けたあの日々を忘れることはない。


新米研修医である自分が患者に伝えられることは限られていたが、逆に彼らから教えられたことは本当に多かった。

そこでは心癒やされ、何度も救われた思いであった。


その後、総合病院を3年で退職してしばらく休み、そろそろ復帰しようかと思った時、ふと「いままでの経験を書きたい」という衝動に駆られる。

それがなぜだか自分でも分からない。

元々読書はしないし、筆無精な性格だった。

しいて言えば、41年問の人生で溜まっていた思いが一気に噴き出したということ。


ひとたび書き出してからは筆が止まらなかった。

医者と患者がもっと向き合い、話し合える医療を実現させたいという願いを込めた処女作『研修医純情物語』は10万部のベストセラーになった。

三作目の『セブンソングズ』では自分探しの迷路をさまよう青年像をつづり、『吾郎とゴロー』では、エリート医師が幽霊とのひと夏の交流を通して「患者のための医療」という原点に立ち返ってゆく姿を描いた。


日本にはフリーターやニートと呼ばれる若者たちが増えている。

しかし、川渕さんは自分をまず肯定し、自分をだめだと思わないで、まずは受け入れてほしいと訴えている。

そこから、いまできることを一所懸命やっていけば、その中で何かは必ず見つかる。

自分が生きてきた体験や、経験から培われた思いを作品にし、若者たちと大人の懸け橋となるべく今日も書き続けている。





今日の”ありがとう”が、明日の未来のあなたを・・・・。

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日本人の誇り ES3
松江でのハーンは精力的にフィールドワークを行っている。

小泉セツとの出会いも大きなものとなった。

セツの生家小泉家は松江藩の五百石取りの士族でしたが、セツは他家に養女に出、婿を取っていた。

ところが、婿が逃げ出して行方をくらまし、この縁は破談となってセツは生家に戻ります。

そんな時に介する人があってハーンの身の回りを世話することになり、結ばれていくのです。

小泉八雲

ハーンの日本語は単語を英文法式に並べるようなもので、上達はしなかったという。

もちろん、新聞などは読めず、そんなハーンに日本語のものを読んでやり、話を聞かせたのはセツだった。

確かにセツの存在なしには、ハーンの仕事のかなりの部分はあり得なかった。


ハーンは松江では盛んにフィールドワークをやりましたが、次に教鞭を執ることになって移った熊本では、あまり出歩かなくなります。

権威的なものが嫌いなハーンに軍都熊本には馴染めなかったようです。

だが、日本への考察が一段と深まったのは、この時期だという。


ハーンは日本の自然災害に注目していた。

家屋は木造ですぐに壊れるが、何事もなかったようにまた家を建て、同じように暮らしていく日本人。

その極まりの姿をハーンは伊勢神宮に見ている。

まだ壊れていないのに、20年ごとに建て替えが行われる式年遷宮 (しきねん せんぐう)

そこにハーンは、欧米のように自然を利用、征服の対象として見るのではなく、人間のほうから一歩出て自然の一部となり、自然と共生していく日本の心を感じ取るのです。


自然との共生。

それはハーンが日本の心としていち早く打ち出した概念でした。

自然災害と言えば、ハーンには「生神様」という作品がある。

これは「稲むらの火」と題されて日本の国定教科書にも載っていた。

和歌山の広村で秋祭りの準備の最中に地震がきます。
大した揺れではなかったので、村人は気にせずに祭りに熱中している。
だが、庄屋は海水が引いていくのを見て、津波がくると感じる。
でも、いくら呼びかけても村人は避難しようとしない。

庄屋は高台にある家に引き返し、収穫したばかりの稲むらに火を放ちます。
火事に気がついた村人が駆けつけ、その時津波が襲いますが、村人は救われる。
以来、村人は庄屋を生神様とし祀り敬うことになったのです。



この話でハーンが示したのは、日本の神は西欧のGODとは違うという概念だった。

そして、日本の心の核となっているのは先祖崇拝であり、それが家庭のさまざまな行事を通して子どもたちにも植え付けられ、感謝の心を育て、他人の気持ちを思いやる心を育んでいるとハーンは理解した。

ちなみに、TSUNAMIが世界の用語となったのは、ハーンのこの文章が始まりです。


次に続く!



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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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