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すべての出来事には意味がある ES1
あの事件からすでに11年の歳月が過ぎようとしている。

11年前のゴールデンウィーク5月3日、彼女にとって忘れようのない日となった。

春の花1
佐賀市内で幼児教育の教室を主宰され、子どもたちもお世話になった塚本達子先生と一緒に彼女はバスに乗っていた。

子どもたちは小学校に入る時点で先生の教室は卒業したが、人生に関する多くを学ばせていただいた彼女は先生から卒業できず、交流を続けていたのです。

この日は一緒に福岡にクラシックコンサートを聴きにいく予定で高速バスに乗った。

バスが高速に入ってしばらくすると、一番前の座席に座っていた少年が突然立ち上がり、牛刀を振りかざしてこういった。

「このバスを乗っ取る。全員荷物を置いて後ろへ下がれ」と。

声にすごみはなく、まだ中学生くらいのあどけない少年が本気でバスを乗っ取ろうとしているとは思わなかった。

乗客は少年の言うことに従い、後部座席へ移動するが、その時、一人だけ眠っていて事態に気づいていない人がいた。

「おまえは俺の言うことを聞いていない!」といい、少年は逆上し、その人の首を刺したのです。

その時初めてこの子は本気なのだと彼女は気づいた。

春の花2
しばらくすると、乗客の一人が「トイレに行きたい」と言い出し、少年はそれに応じて、バスは道路の路肩に止まった。

その人がおそらく通報したようで、バスの前に乗用車が何台か止まり始め、そのことに気づいた少年はさらに逆上し、「あいつは裏切った。これは連帯貢任です」と言いながら、一番近くに座っていた彼女の顔を牛刀で切りつけていく。

手や首を何ヶ所か刺された彼女の体は、通路へ転がり落ちていった。

しかし、その時彼女はこう思ったという。

『ああ、彼の心は、この私の傷と同じくらいに傷ついていたのだ。そんな少年を殺人者にするわけにはいかない』と。


そうして数時間が経過し、バスの速度が落ちたのを見計らって、2人の乗客が窓から飛び降りた。

すると少年は「連帯責任」という意味で、塚本先生を2回刺した。

崩れ落ちる先生を見ながら、彼女は直感的に「突っ伏したら死んでしまう」と思った。

「先生、起きて!」と心の中で何度も叫ぶのですが、自分の体もままならず、どうすることもできなかった。

これが当時17歳の少年が起こしたバスジャック事件に遭遇した山口由美子(やまぐち・ゆみこ)さんの回想です。

次に続く!



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すべての出来事には意味がある ES2
春の花3
山口さんと塚本先生との出会いは、一番上の息子が4歳の時にさかのぼる。

小学校の教員だった塚本先生は、偏差値教育や受験戦争など現代の学校教育のあり方に疑問を感じて退職した。

独自に幼児教室を主宰し、「この世に生まれて初めて出会う教師は母親である」という考えから、子どもたちとお母さんのための教育に専心した。

塚本先生は常々「子どもは自ら育つ力を持って生まれてくる。大人はそれを援助するだけでいい」といっていたが、この教えが彼女の子育ての指針となり、特に娘が不登校に苦しんでいた時には大きな支えとなっていた。

山口さんの娘は小学校の時に不登校となり、その後は通えたものの、中学に入るとまた行けなくなった。

一番苦しいのは娘だと分かってはいるものの、周囲から子育てが悪かったからこうなったと思われたり、この子の将来はどうなるんだろうと不安になったりと、親として娘を受け入れられない時期もあったという

しかし、「子どもには自ら育つ力がある。大人はそれを援助するだけ」という塚本先生の教えがあったからこそ、娘が自分で立ち上がるまで待つことができたのだと彼女は語る。

春の花4
事件後、時間がたつにつれ、少しずつ加害少年の素性は彼女にも伝えられた。

少年は彼女の娘と同じ17歳、高校は不登校の末、退学をしていた。

「ああ、彼も苦しんでいたんだ」と思った。

バスの中で、少年が最初に逆上して言ったあの「俺の話を聞いていない!」という言葉は、ずっと心の中で「話を聞いてほしい」と17年間訴えていたのだと思った。

しかし、それに耳を傾けなかった周囲の大人たち。

少年は事件によって加害者になったが、それまではずっと大人社会の被害者だったのだと彼女は感じた。

「彼にも居場所があったら、こんなことにはならなかったかもしれないね」と精神ケアの先生に言われた一言がストンと胸に入った。


この事件の報道のほとんどが「身勝手で頭のおかしな少年による凶悪事件」という報道のされ方で、「許せない」「少年でも厳しく罰しろ」というのが世の論調だった。

「違う、少年だけが悪いのではない」、このことを世の中に伝えていかなければならないという、使命感にも似た思いが彼女の中にふつふつと芽生え始めた瞬間だった。


次に続く!



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すべての出来事には意味がある ES3
春の花5
事件から5年の歳月がたったある日、彼女は京都の医療少年院で加害少年と対面した。

その時、山口さんは彼に「誰からも分かってもらえず、つらかったんだね」と伝えた。

現在、彼は出所したという。

願わくば、少年院に入ったことを契機に生まれ変わり、2度と罪を犯さない一生を送ることが、自分の傷も塚本先生の死も生きるのではないかと山口さんはいう。


事件から11年がたとうとしているが、その後も少年犯罪は後を絶たず、抑止力として少年法の刑は改正により重くなり、適用年齢も下がった。

しかし、そういう子どもたちを生み出しているのは、ほかならぬ大人社会なのです。

大人が変わらず、ただ刑を重くしても、何の解決にもならないと彼女はいう。

彼女自身、事件に遭って、ようやく子どもたちがありのままにいてくれることに深い感謝の気持ちを抱けるようになったと語る。

母親を気遣う子どもたちがそこにいてくれて、自分の話をしてくれる。

それに「そうだね」と頷ける自分がそこにいることが何より嬉しかった。

「お母さん変わった。いまのお母さんには何でも話せる」と息子に言われ、初めて自分の変化に気づいた。

何年も塚本先生に学びながら、事件に遭ってようやく先生の教えを真に理解できた。

春の花6
死後、塚本先生は山口さんや遺族に一つの言葉を残した。

「たとえ刃で刺されても恨むな。恨みは我が身をも焦がす」

これは事故の直後に、先生のご子息が「母の財布に入っていたおみくじの言葉です」と言って教えてくれたものです。

「母は遺された者たちの心のありようまで示唆して逝ってくれました」といった時、あの日塚本先生は自分の命が尽きることを察知していたのかもしれないと思った。


すべての出来事には意味がある。

事件もまた、彼女にとっては必要な出来事だったと受け止めている。

つらい目に遭った時、それを受け入れず、相手への報復に執念を燃やしたり、天罰が下ることを願う人もいる。

もちろん、遺族や被害者にとってその気持ちは充分過ぎる程よくわかる。

しかし、あえてそこに執念を燃やすのなら、人生で訪れるすべての出来事を受け入れ、それを良い方向に転換していくことに考えをめぐらし、全力で走りきる人生に執念を燃やしたい。

良くも悪しくも出逢うものは一つの縁であり、そこから学び、新しい自分と出会う。

そうして家族とも、周囲の人たちも、喜びに満ちた時を紡(つむ)いでいく一生でありたいと山口さんは願っている。


いま山口由美子さんは、親と子が学び育ち合う居場所を開設し、不登校の子どもたちのためのフリースペースをサポート、子育てに悩む親の会の代表を務めている。



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一日も早い、復旧と復興を心より願っています。

今日も一日 ありがとうと感謝の心でお過ごしください。

このブログを最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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テーマ : 生きるということ
ジャンル : ライフ

子どもを叱れない親たちへ
昭和58年8月に初めて訪れた沖縄少年院から始まり、少年院や刑務所を慰問するようになり28年が過ぎようとしている。

刑務所通いはやめられねぇ―笑わせて、泣かせる落語家慰問
そこで収容されている少年たちの前で落語をやり続ける落語家・桂才賀(かつら・さいが)さんの話です。

最初は「落語なんてじじいばばあの聞くもの」なんて重い足取りで集まった少年たちですが、落語を聞くうちに涙を流して笑っている。

その時の院長が「あなたは彼らの心の鎧を脱がしてくれた。彼らは笑うことを忘れていましたから」と言ってくれた。


いままで慰問を続けてこられた原動力の原点がここにあり、いつも立ち返る初心の言葉だという。

場所によっては、3日かけて行って1回しか公演できないこともあるが、平均すると、大体月に2回は全国どこかの少年院や刑務所を慰問している。


ここまで続けてくると、少年たちよりも、教官の先生方が楽しみに待っていてくれるという。

「落語ってそんなにおもしろいの?」と、それが始まってみると腹を抱えて笑っていて、彼らにとっては、笑えることが爽快なのかもしれないという。

当然ながら、少年院というところは、笑いはないし、二言目には「なぜここに来たのかわかっているんだろうな」と言われる世界です。


彼は落語家であると同時に少年院篤志面接委員(カウンセラー)という肩書を持っており、彼らの気持ちを引き出すことが務めなのです。

もちろん、家に帰れば親はいるのですが、「僕には親がいない」というようなことをよく言う。

そこからは家庭内の実態が透けて見え、世間では"高給取り"と見られている親の子に多い例として、「お父さんに恥をかかすのか」とか「お兄ちゃんができるのにお前は何故できないんだ」と、常に誰かと比較され、お前は駄目だと言われている。


また、親が自分の職業に就かせたがる傾向もあり、医者の息子であれば、周りから「将来は医大に行くんでしょ」と言われ、親もその気になって「行けるように努力しろ」とプレッシャーをかけ続ける。

子どもとしての将来がどんどん狭められ、疎外感を感じ、親の無関心が子どもを寂しさに追いやってしまうことも多いという。

テーマ : 日本文化
ジャンル : 学問・文化・芸術

一歩から始める社会変革
現在日本では約3万軒の保育園がありますが、病児保育を実施している施設はその2%末満だという。

主に仕事と育児を両立する女性から、突然熱を出した子どもを預かってほしいという二ーズが非常に高いにもかかわらず、なかなか広まらない。

そこには全国の病児保育施設の9割が赤字経営という現実が立ちはだかっています。


病児保育は施設の維持費や人件費など莫大なコストがかかるため採算がとれず、新規参入が難しく、ニーズに応えられるだけの社会的インフラが整わないという悪循環なのです。

この病児保育問題を解決すべく、NPO法人フローレンスを立ち上げた駒崎弘樹(こまざき・ひろき)さんの社会を変える仕事の話です。


7年前、子育て経験のある女性を子どもレスキュー隊員として登録し、子どもが熱を出した時に親に代わって医者まで連れて行き、そして親が帰宅するまで子どもの自宅、または隊員宅で預かるというシステム。

平成15年にサポート事業を開始し、翌年に内閣府認定NPO法人化し、17年に実際のサービスを開始した。

当初は東京都の中央区、江東区限定で始めたが、現在では都内23区の他、川崎市や横浜市に対象を広げ、スタッフは約20名、登録会員も300世帯を数えるまでになった。


フローレンスを立ち上げる直前まで、駒崎さんは若手IT起業家として順風満帆な日々を送っていた。

慶応大学在学中、後輩に誘われてともに立ち上げた会社は年間数千万円の売り上げもあり、規模は小さいながらも安定した経営を保っていた。

しかし一方で、毎日ひたすら売り上げを求めて会社の極大化を目指すのに空しさを感じ始める。

いつしか「自分が本当にやりたいことは何か」と自問自答を繰り返すようになり、「人の役に立ちたい。それによって社会に貢献したい」という思いがふくらんでくる。


そんな時、一歩を踏み出すきっかけとなったのはベビーシッターをしていた母の話だった。

母の懇意にしていたお客さんが、熱を出した子どもの看病のため会社を休みがちになったところ、解雇されたというのです。

子どもは小さな病を繰り返しながら成長していくもので、特に乳児が熱を出すのは当たり前なのに、なぜ親が子どもを看病するという当たり前のことをして職を失うのか。

振り返れば、自分自身も近所の松永さんという主婦に3歳まで預けられていた。

いつの間にかこのような「地域が支える子育て」が消失してしまったことに大きな衝撃を受けるのです。


「仕事と育児を両立できない社会はおかしい。これまでの事業経験を生かして病児保育問題を解決し、誰もが本来の力を発揮できる社会に変えていきたい」と思った。

しかし、その道のりは困難の連続だった。

テーマ : NPO
ジャンル : 福祉・ボランティア

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Author:ニック
■ニックネーム:人生の彷徨人
■住まい:神奈川県
■半世紀を過ぎた人生を振り返り、4人の息子に囲まれながら第二の人生を歩んでいます。

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